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中学生 手話劇Stage a play

「 グッドバイ・マイ・・・・・ 」

 舞台は人間を世の中に送り出すところ。白の使者は白い門を通って人間界に生まれていくよう促す。黒の使者は黒い門を通って無の世界に消えていくよう促す。

 そこでの案内役のような老人と、これから生まれる待機組の4人の存在。老人は彼らに仮の名前をつける。そして、ここでは何でも話せて、どんな言葉も理解できるが、世の中に生まれた途端に言葉は忘れるし、ここでの記憶も全て消えてしまうということを告げる。

 この老人にはそれぞれが生まれてからの未来のことを少しだけ予告することができるということを知った彼らは、それぞれが教えてほしいと頼む。

【青太】教育熱心な両親の元で勉強漬け。趣味も部活動もなし。友達なし。ある日、何もかも嫌になって、マンションの屋上目指してエレベーターに乗る・・・その後は分からない。

【桃子】親の無関心・放任、そして非行少女になる。深夜、暴走族のバイクに乗り、横転、そこに大型トラックのクラクション・・・その後は分からない。

【黄郎】両腕がない。そのことでイジメにも遭う。何でも自分の力でやっていけるように両親の特訓を受ける。そして中学の入学式前日・・・その後は分からない

【緑】生まれて7日目に駅のコインロッカーに捨てられる・・・その後は分からない。

 ワクワクした気持ちは消え、絶望感で一杯になった彼ら。「そんな嫌なことが待っている世界に何のために生まれていくのか」と問われる老人。
 闘うこと、これが人間の尊いところだ。自分の境遇、自分の能力、いや、自分のためばかりでない。世の中の不正や醜いものと闘うためだ。子どもが捨てられたり、落ちこぼれたりしてよいものか。手足が不自由な人でも堂々と生きていける社会でなければならん。そういう世の中を作るために人は生きるのだ。だから、子どもは宝だな。お前たちはまだ何の努力もしていないではないか。

 そして【緑】の番になり、白の使者は生への白い門、黒の使者は無への黒い門へ誘うなか、【緑】は生まれていく決心をする。

 【緑】の決断に勇気づけられるも、その後、3人は【緑】の死を知り再び絶望に・・・。しかし、【緑】は決して諦めずに最後まで精一杯にがんばった。【緑】の未来を自分たちが生きるんだと決意して、誕生の門を開いていく・・・。

 人間は皆、何かのために生まれていく。それを信じることだ。

 黄郎が生まれる直前に「お母さんは、僕が両手がないことを悲しんでいるの?」と尋ねました。「いや、一度も悲しんではいない」と老人が答えます。すると黄郎は、喜んで、命への門を目指します。そして最後に黄郎は自分の左手をじっと見つめて仰ぎ、「Good bye my・・・」とつぶやく。